魂の存在証明

「ユートの魂は榊遊矢の中で生き続けている」
榊遊矢との決闘を通して、黒咲隼はそう語ったという。

元はズァークであった4つの魂は、榊遊矢のなかに。
元はレイであった4つの魂は、柊柚子のなかに。
世界が分裂したあと、ひとりひとり別の人間として生きてきた魂。
それがひとつに統合したあとも、その魂は彼彼女の中に確かに存在しているのだという。

ならば、零羅の魂はどこへ行ってしまったのか。
ズァークでもない、レイでもない、ただの戦争孤児として生きてきた赤馬零羅の魂は。

***

無邪気な笑顔をみせる赤ん坊を、赤馬零児はぼんやりと見つめる。
レイの器となりズァークを倒した零羅は、その身にズァークの悪意を封じ込め、赤子としてこの世界に帰ってきた。

「……私が、零羅をランサーズに選ばなければ」
ランサーズとして次元戦争に立ち向かう中で、己の自我を育んできた零羅。
ランサーズに入らなければ、レイの器になることを受け入れることもなかったのだろうか。
今も、世界の全てに怯えた顔をしたまま、零児の後ろを付いてきていたのだろうか。

これからこの赤ん坊は健やかに育っていくだろう。
今この世界はとても平和で、あの頃の零羅のように悲惨な経験をすることもない。
父と母―赤馬零王と日美香と共に、実のきょうだいのように生きていくだろうこの赤ん坊を、己は再び零羅として受け入れることができるのだろうか。

「私は、実の姉よりも、お前に居てほしかったよ」
黒咲隼のように、零羅の魂が生き続けていると信じていたかった。
取り戻すために足掻き続けていたかった。

零羅、と名前を呼ばれた赤ん坊は零児に向かって、世界の悪意なんて何ひとつも知らない、無垢な笑い声をあげるだけだった。

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放送当時途中リタイアしたARC-Vを今回の一挙で全部見ました。
結末だけ聞いた当時は黒咲さん可哀想すぎるだろと思っていましたが今回最後まで見て弟(?)が赤ん坊の姿で帰ってきた社長も可哀想じゃない?ってなった
今から不思議パワーで遊矢シリーズと柚子シリーズが分裂して戻ってきても赤ん坊になった零羅はそのままだよなあ…って
零羅の人生ってなんだったんだろ…

20260104